第二話 「プールに魚類は放さないでください」
前回の事件から数週間が経ちました。 かのんさんは圭くんと同じ学校、同じクラスに編入しました。『実は双子の兄妹がいた』という無茶な設定でしたが、なぜか周囲は納得し、今ではすっかり日常に溶け込んでいます。 そして、季節は夏。今日の体育の授業も水泳です。かのんさんの水着姿に圭くんは落ち着かない様子? 「う…いや、そんなことはない。誰があんな凹凸に欠けたカラダになんか…」 「誰とお話ししてるの、お兄ちゃん?」 「か、かのん?!」 気が付くと、かのんさんが見上げるようにして覗き込んでいました。圭くんの意志とは裏腹に、視線はかのんさんのカラダに――。 「って、そうじゃねーだろっ!!」 「ギョッギョッギョッギョーーーッ!!!」 圭くんが煩悩を振り払おうとした瞬間、奇怪な笑い声が響き渡りました。 はっきり言って授業妨害です。 「この下品な笑い声、まさか奴らか!?」 声の主はプールの中から飛び出してきました! |
「ネオドラゴニア八輝星が一星、水のアキトーギョ。同行願おうか、徳永圭!!」 「知ってるか、かのん。秋の刀の魚と書いて、サンマと読むんだぞ」 「そうなんだ! お兄ちゃんは、やっぱり物知りさんです!」 「人の話を聞かぬか!! ああ、もういい、実力行使させてもらうぞ。来たれ我がしもべ、サンマリナーッ!!」 魚人の掛け声に呼応して、巨大な魚型メカが浮上してきました。これには野次馬を決め込んでいたクラスメイトたちも、さすがにビックリ。慌ててプールから退散していきます。 ちなみに巨大メカを隠しておけるほど、プールは深くありません。これは彼の『水中召還』能力がなせる技なのです。 「うわ、魚臭ぇ……」 「合身(フュージョン)!!!」 |
「くっ、こっちもアルトパンツァーを呼ばねぇと!」 圭くんは左手にはめている時計のようなモノを操作します。これは「シスター・コマンダー」、略して「シスコン」。お父さんの発明品です。いざという時のため、常に身に付けることになっていました。 「エマージェンシーコード、『9』『0』『6』、エンター!」 ■妹豆知識:9月6日は“妹の日”です。 「ギョッギョッギョッ、そうはいかんざきッ!」 |
「ザンマービィィイーーームッ!!!」 二本の光条が圭くんに向けて放たれました! 「おわっ!?」 「お兄ちゃん、あぶないっ!!」 かのんさんは、すんでの所で圭くんを抱きかかえ跳躍、回避に成功しました。当然、二人のカラダは密着してしまい、圭くんのドキドキは跳ね上がります。 (や、柔らけー……) 「チッ、外したか!!」 ……当初の目的を忘れていませんか、アキトーギョさん? |
「まずいぞ、かのん。今の攻撃のせいで、コマンダーがイカレちまった…」 「大丈夫ですっ!」 両手をぎゅっと握りしめて、かのんさんは言います。 「あのマシンの弱点は見抜きました。それに、こんなこともあろうかと……」 頭のバルカン砲を「カパッ」と開き、あるモノを取り出します。球体に棒が突き刺さっているソレは、かのんさんが一振りすると「ジャキン!」と伸びました。ついでに球体から、一杯トゲが突き出します。 「モルゲンステルン……。そんなもん、持ち歩いてんのか……」 「えへへ…」 英名モーニングスターを構えたかのんさん、表情を引き締め、ザンマ=ザンマに向き合います。 「そんな得物ひとつで何が出来るというのだ、ギョッギョッギョッー!!」 マシンの繰り出す攻撃を巧みにかわしながら、かのんさんは肉薄します! 「この、ちょこまかと!」 「当たらなければ、どうということはありませんっ!!」 応酬の末、ついにゼロ距離へ持ち込みました。 |
「えーーーいっ!!」 ザンマ=ザンマの最大の弱点めがけ、モルゲンステルンを振り下ろします。「ポカン!」なんて生やさしい音はしませんでした。 「ギィョゥエエエーーーーッ!!!」 あまりの衝撃にコックピットのロックが外れ、アキトーギョさんは機外へ投げ出されてしまいました。 |
「やりましたよ、お兄ちゃん!!」 「あ、ああ(…殺っちまった?)」 手足がピクピクと痙攣しているので、生きてはいるようです。 『ぎょ』 「な、マシンがひとりでに!?」 「待って、お兄ちゃん。えっと、なに……?」 『ぎょ、ぎょ』 「わたしと友達になりたいの? うん、いいよ!」 「ちょっと、待てよ。んな簡単に敵のマシンを信じて良いのかよ!」 「暴れてたのは、あのヒトに強制されてたみたいなの。だから、この子は悪くないよ。 それにわたしと同じだから……」 「……分かった。ただし、条件が二つある。一つはヤバイと感じたら倒すこと」 「……うん」 「もう一つは良く洗うことだ。魚臭いのは勘弁してくれ」 「うん! ありがとう、お兄ちゃんっ!!」 『ぎょ♪』 |
授業の残り時間はプールの後始末になってしまい、クラスのみんなは不満を隠せませんでした。でも、かのんさんだけはとても嬉しそうで、「まぁいいか」と圭くんは思ったのでした。 |
空よりもずっと高く、大気圏よりも更に上。宇宙に一隻の船が浮かんでいました。 その中に、命からがら逃げ帰ったアキトーギョの姿がありました。 「それで、鈍器一本の小娘に無様に負けて、おめおめと戻ってきた、と。アキトーギョ?」 「ハッ、面目しだいもございません…。かくなる上は潔く腹を切って!」 「もう良い、下がれ」 「ハッ……」 トボトボと退室するアキトーギョと入れ替わりに、一人の男性が現れました。 「閣下、この私に今一度チャンスをお与えください。ゲヒ」 「ふむ、何か策があるのだな、Dr.スターク。ならば行くがよい」 「ゲ、ゲヒ、ありがたき幸せ。今度こそ、トクナガのセガレを連れて参りますです!」 〔EP02:Fin〕 |
「鍋だ」 ある冬の朝、お父さんの提案で夕食メニューが決定。 極上の食材を求め、かのんさんたちは朝市に向かうことに。 しかし、そこにDr.スタークのロボットが現れ……。 「思い知れトクナガ、我が輩の天才的頭脳の恐ろしさを、ゲヒヒヒーーッ!!」 はたして、Dr.スタークの狙いは何なのでしょうか!? シスターブレイヴ・アルトかのん第三話「秘境・日本海に幻の巨大ガニを見た」 次回もお兄ちゃんに届け、この想い!! |
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