今日は2月13日。そして明日は、女の子にとって特別な日――そう、バレンタイン・ディです。それはダイヤドロイドも例外ではありません。 タマちゃん(Dスピカ)も、大好きなスバルさん(Dプレアデス)に手作りチョコをプレゼントしようと、大はりきり。しかし、お料理など一度もしたことのないタマちゃん。いきなり上手くいくはずもありません。 いつもなら、スバルさんに助けてもらっている所です。でも、今日ばかりは一人でやり遂げないと意味がない、とレシピとにらめっこ。悪戦苦闘している内に夜は更けていきます……。 |
「で、出来たみゃあー!」 結局、完成したのは翌朝、バレンタイン・ディ当日でした。徹夜してまで作ったチョコですが、お世辞にも美味しそうには見えません。タマちゃんは、だんだん心配になってきました。 「スバル姉様、受け取ってくれるかみゃ……?」 でも、大好きな、優しい姉様なら、きっと受け取ってくれる。そう、思い直した時でした。 「ウェェェェイ!」 「みゃあっ!?」 |
突然、現れた緑色のドロイドが、タマちゃんの努力の結晶を奪っていきました。そのドロイドは冴さん(Eシリウス)。タマちゃんにとっては天敵とも言える、ストーカーちっくなメイドさんです。普段ならセンサーで接近も感知できるのですが、徹夜の疲労が感覚を鈍らせていたようです。 「ありがとう、タマ。私のために徹夜までして、チョコを作ってくれるなんて!」 「ち、違うみゃ! それはスバル姉様にプレゼントするものみゃ!!」 「安心して。欠片も残さず食べてあげるから。そうして全身にみなぎったタマの愛を、今度は私が三倍返ししちゃったり。くすすっ」 「みゃー! 返すみゃああぁぁっ!!」 「もう、照れちゃって可愛いコ!」 本来の力が発揮できず、良いように弄ばれるタマちゃん。絶望的な気持ちで胸がいっぱいになり、瞳からは今にも涙がこぼれ落ちそうです。 「そこまでです!」 タマちゃんが諦めかけた時、凛とした声が響き渡りました。聞き間違えようのない、大好きな姉様の声です。 |
「スバル姉様ぁっ!!」 「もう大丈夫ですよ、タマさん」 スバルさんの柔らかな笑顔に思わず、我慢していた涙がこぼれ落ちます。でも、もう不安な気持ちは吹き飛んでいます。 「出たわね、スバル……」 「冴さん、あなたはドロイドとして、やってはいけないことをしてしまいました。相応の罰を覚悟してください」 「あー、いちいち、うるさいわね、小姑イド(こじゅうとめいど)!!」 「反省の色なし、ですか……」 「黙らっしゃいっ!!」 冴さんがスバルさんに襲いかかります。 |
スバルさんは殴りかかってきた冴さんの一撃をかわし、その勢いを利用してぶん投げます。『柔能く剛を制す』です。打ち所が悪かったのでしょうか、冴さんはそのままグッタリと動かなくなりました。 |
「はい、取り戻しましたよ、タマさん」 「スバル姉様、ありがとうみゃあ!」 そして、タマちゃんは改めて、スバルさんにチョコを差し出しました。スバルさんは、びっくりしたようですが、すぐに満面の笑顔で言います。 「ありがとうございます、タマさん!」 「えへへ、みゃ!」 「わたし一人では食べきれないですし、一緒に頂きましょう」 「みゃー!」 こうして、タマちゃんのバレンタイン・ディは、とてもとても幸せな一日になったのでした。 |
茶色のブロックで(タマちゃんが)作った、ハート形チョコレート。茶色はカバーパーツの種類が限られているため、一部ポッチが出てしまっています。 ブロックが黒色ならビター、白色ならホワイトチョコが再現できそう。 なお、タマちゃんのチョコの味は、スバルさんによると「ちょっと刺激的でした」とのこと。一体、何が入っていたんでしょうか…。 |
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